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HOME MEAL MEISTER 02農畜水産物の生産と流通


7-農業の生産 米、青果物

農業は「植物の能力を利用して食料を生産する人間の活動」であり、その植物の生育には「光、空気、養分、適当な温度」が必要である。植物は光合成によりエネルギーを得、また養分を根から得て、植物自身に必要な物質を生合成するが、私たちはそれらを利用している。表1に植物の生育に必要な元素を記す。空気や水から得られる炭素、水素、酸素の他に15種の元素が必要とされるが、中でも窒素(ちっそ)、リン、カリウムは植物の生育には欠かせない元素である。また昨今の研究で、ナトリウム、ケイ素の必要も明らかになりつつある。これら元素のどれ1つが欠けても植物は生育できないし、他の元素での代用もできない。

 

表1 植物の生育に必要な元素

多量必須元素(6種) 炭素(C)、水素(H)、酸素(O)
窒素(N)、リン(P)、カリウム(K)
中量必須元素(3種) カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、イオウ(S)
微量必須元素(7種) 鉄(Fe)、マンガン(Mn)、ホウ素(B)、亜鉛(Zn)、銅(Cu)、モリブデン(Mo)、塩素(Cl)
有用栄養素(2種) ナトリウム(Na)、ケイ素(Si)

水をやらずに枯らしてしまった、緑の葉が白っぽくなってしまったなど、植物を育てた経験がある人は、何かしら植物が健康に育たなかった経験をお持ちではないだろうか。植物も動物と同じで、栄養をバランスよく与えられなければならない。不足してもよくないし、過剰でもよくない。肥料はこれらの栄養不足やバランスを補うために植物に与えるもので、化学肥料や有機肥料などの種類がある。(☞2章-12参照)

農薬については、植物の生育を阻害する害虫や微生物、あるいは雑草を防除するために使用される(表2)。日本で使用される農薬については、農薬取締法に従い、登録された農薬以外は使えない。(☞2章-13参照)

表2 農薬の目的による種類


農産物の栽培プロセスは作物により様々であるが、まず土をつくり、種を播くことから始まる。図1にキャベツの生育の様子を示す。他にも、家庭菜園の域ではあるが、種苗会社のページなどで詳しく説明されている。

図1 キャベツの生育の様子 (出典:タキイ種苗)

農林水産省の統計では、主な農産物を米、小麦、大豆、野菜、果実、花き、茶、甘味資源作物(てんさい、きび)、いも類としている。また、野菜は葉茎菜類、根菜類、果菜類、果実的野菜に分類されている。米は消費が減ったことで生産量は減少し、青果物の生産量は横ばいであるが、消費者が購入する場までそのまま流通するよりも、加工や外食用として使用される機会が増えてきている。 


我が国の農産物の多くは、屋根などの覆いがない露出した地面で栽培する「露地栽培」という方法がとられている。これは、天候や病害虫に影響を受けやすい。一方、施設園芸とは、ビニールハウスなどの中で栽培する方法で、一般的に生産安定性が高いが、コストも高い。図2に施設栽培の簡易なものから大掛かりな植物工場までの例を示す。

図2  露地栽培と施設栽培

表3 代表的な施設栽培の栽培法

マルチ栽培 露地栽培に最も近い。 「マルチ」とは元来「敷きワラ栽培」を意味し、今ではプラスチックフィルムを畑に敷いて保温、雑草抑制等に利用する。
べたがけ栽培 防虫・発芽促進・霜よけ等の目的で、植物の上などに不織布等の軽い資材を直接一面に「ベタッと掛ける」栽培法。
トンネル栽培 被覆資材で被覆されたトンネル状の施設で、一般にその中で栽培管理が行えないような高さである。
雨よけ施設栽培 雨による作物の濡れを防止するとともに、灌水(かんすい)によって養水分の吸収を適正に調節するために、上部をプラスチックフィルムで覆う栽培法。
施設栽培 ガラス室やプラスチックフィルムで覆うハウスの中で栽培する。
植物工場 閉鎖した清潔な空間の中で、土の代わりに養液を用い、光、温度、湿度をコントロールし野菜を栽培する。

<参考HP>