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HOME MEAL MEISTER 02農畜水産物の生産と流通


12-有機農産物

「有機農産物」とは、農業の自然循環機能の維持増進を図るため、化学肥料や農薬の使用を避けることを基本として、土壌の性質に由来する農地の生産力を発揮させるとともに、農業生産に由来する環境への負荷をできる限り低減した栽培管理方法を採用した圃場(ほじょう)(田畑など農作物を育てる場所)において生産した農作物のことをいう。

「有機JAS制度」においては細かな決まりがあるが、大きくは、

  • ①農業の自然循環機能を維持するために、たい肥*1などで土づくりを行うこと
  • ②野菜や米などについては種まきや植付け前の2年以上前から、果樹や茶などの多年生のものでは収穫前の3年以上前から化学肥料および農薬を使用しないこと
  • ③遺伝子組換え由来の種子や苗は使用しないこと

などが決められている。なお、栽培期間中は、やむを得ない場合に限り、限定的に許可された化学肥料や農薬のみの使用が認められている。

*1 たい肥

有機物を微生物によって完全に分解した肥料のこと。有機資材(有機肥料)と同義で用いられる場合もある。


「JAS法(農林物資の規格化等に関する法律)」に基づき、有機農産物の「JAS規格」が定められており、農林水産大臣の登録を受けた登録認定機関から認定を受けた生産者(生産行程管理者)だけが、有機農産物のJAS規格の生産基準に従って栽培したものについて、「有機JAS マーク(図1)」とともに「有機野菜」「有機栽培」などと表示することができる。登録認定機関は、生産者が有機農産物のJAS 規格に従った生産管理を行っていることを実地検査や記録で確認し、「生産行程管理者」の認定を行う。

図

図1 有機JASマーク


「特別栽培農産物」とは、化学合成農薬と化学肥料について、それぞれの地域での一般的な使用回数及び使用量の半分以下にして栽培した農産物である(図2)。農林水産省が定めている「特別栽培農産物に係る表示ガイドライン」に従って、農薬や化学肥料をどれだけ減らした農産物なのかわかるように、減らした割合を表示するとともに、農薬や化学肥料の使用状況を表示することが必要である(使用状況についての情報はインターネットを利用して提供することも可能)。

この特別栽培農産物の表示ガイドラインは、生産者や販売者自身の責任で使用する表示のルールであるが、地方自治体や農業団体等が、このガイドラインの生産方法等に準拠して、それぞれ独自に認証する仕組みを作っている例も多くある。

図

図2 特別栽培農産物(出典:農林水産省)


「減農薬」や「無農薬」等の表示は禁止されている。これらは栽培方法の特徴を示す用語であり、その商品の成分を示しているものではないが、商品に表示された場合、「残留農薬が無い、あるいは減っている農作物」であるかのような「優良誤認*2」を引き起こすおそれがあることから、平成15年5月に「特別栽培農産物に係る表示ガイドライン」が改正され、平成16年4月からはこれらの用語を商品に表示することが禁止となった。

*2 優良誤認

誇大広告などで「商品やサービスの内容が実際以上に優れている」と消費者に誤解させること。景品表示法で禁じられている。(☞9章ー99参照)


農産物のほか、有機JAS制度では「有機畜産物」「有機飼料」「有機食品」についても定められている。有機食品とは、「有機農産物や有機畜産物を原材料とし、化学的に合成された肥料及び農薬の使用は避け、物理的な加工あるいは、生物の機能を利用した加工法を施した食品」のことをいう。


<参考HP>