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HOME MEAL MEISTER 03調理と衛生


29-食品の保存(冷蔵庫、冷凍庫)

肉、魚、野菜など、ほとんどの生鮮食品には菌がついている。菌の多くは、10℃以下(冷蔵庫は0~10℃)では増殖が緩慢となり、-15℃以下(冷凍庫は-18℃以下)では増殖がほぼ停止する。食材が日持ちするのは、冷蔵・冷凍することで菌の増殖を抑えているからである。しかし、菌が死ぬわけではない。冷凍冷蔵庫での食品の保存は、あくまで一時的なものと考える。


(1)冷蔵庫について

冷蔵庫とは、低温で保管することを目的としたものである。一般的には、0℃以上で水を凍らせない目的で、0~10℃程度で使用される。家庭では、常温で腐敗したり、融けてしまうような食材を、低温で保管するために使用することが多いが、調理した料理の温度を下げるためにも利用される。また冬季に室温が氷点下となるような寒い地方では、冷やすためだけでなく、凍らせない目的でも使われることもある。

(2)使用するポイント
    1. 各食品に適した温度帯の場所で保存する(図1)。
    2. 生鮮食品は、なるべく空気と接触しないように密閉するのが望ましい。そのためには真空にした状態で保存するのが一番よいが、それが無理な場合は、ラップなどできっちり包む。または密閉容器に入れる。
    3. 冷気の吹き出し口を塞がないようにし、冷気の循環をよくするために食品と壁、食品同士の間を開けておく。あまり詰め過ぎず、容量の60~70%が望ましい。食品別に定位置を決める。
    4. 汚れたら小まめに掃除する。2カ月に1度程度、中の物を全部出して水や中性洗剤で拭き、消毒用エタノールで殺菌する。
    5. 熱い物は室温に冷ましてから入れる。
    6. 外気温や、ドアの開閉頻度に応じて、庫内温度の設定を調節する。庫内温度は5℃以下を目安とする。
(3)冷凍冷蔵庫の各場所の温度帯と保存に適する食品

図

図1 冷凍冷蔵庫の各場所の温度帯と保存に適する食品

◆チルド室とパーシャル室の違い

1.チルド(約0~1℃):ヨーグルト、ゆでうどん・そば、ちくわ、かまぼこ等、凍らせたくない食品の保存。

2.パーシャル室

①パーシャル「弱」(-1℃)

刺身やスライス肉等、凍りすぎると困る食品。

②パーシャル「中」(-2℃)

幅広い食品をおいしく鮮度を保ちながら、凍らせずに保存。

③パーシャル「強」(-3℃)

まとめ買いした肉や魚を冷凍すると解凍が大変といった場合、日持ちを優先した食品の保存


(1)冷凍庫について

冷蔵庫より温度が低い。食品を長期に保存するための冷凍や、市販冷凍食品の保存用として使用される。

冷凍は食品中の水分を凍らせる。-5~-1℃で食品中の水のほとんどが凍るが、この温度帯を「最大氷結晶生成帯」という。この温度帯を急速に通過すると、細かい氷の結晶ができ、食品の組織を壊さないので、品質の良い冷凍食品ができる。市販の冷凍食品は30℃くらいで凍結させるので品質がよい。しかし家庭の冷凍庫は25~15℃であり、この温度帯を緩慢に通過せざるを得ないので、市販に比べると冷凍食品の品質は劣る。最近は急速冷凍機種も増加してきている。

(2)保存する時のポイント
    1. 急速に冷凍させるために、庫内に熱の伝わりやすい金属のトレーを置き、その上に食材を置く。
    2. 古いものから使えるように、新しいものは奥に入れる。
    3. 隙間なく入れた方が、庫内の温度変化が少ない。
    4. 冷蔵と同様に真空状態で冷凍するのがよいが、それができない時は、袋の空気はできる限り追い出して密閉する。
    5. 野菜類は原則として冷凍できない。「ブランチング(80%程度火を通す)」して冷凍する。
    6. 食材は小分けにして冷凍する。飯などは平らに包むとよい。
    7. 肉、魚類は水分が多いので、生のまま冷凍するよりも、下処理後に下味を付けて冷凍した方が望ましい。