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50-酒、酢など発酵の技術

醸造酒は、酵母により発酵させて絞っただけの酒でアルコール分が低く、原料のエキス分が多く、清酒(日本酒)、果実酒などがある。蒸留酒は醸造酒を蒸留したものでアルコール分が高く、焼酎、ウィスキー、ブランデー、ウオッカ、ジン、ラム なとがある。混成酒は醸造酒や蒸留酒に植物、果実などの成分を含ませた酒で、アルコール分、エキス分ともに多く、缶チュウハイや梅酒などがある(表1)。

表1 酒類の税法上の分類

発泡性酒 ビール、発泡酒、その他の発泡性酒類(アルコール分10%以下のもの)
醸造酒 清酒、ぶどう酒、紹興酒、りんご酒、果実酒、その他醸造酒
蒸留酒 連続式蒸留焼酎、単式蒸留焼酎、泡盛、ウイスキー、ブランデー、ウォッカ、ジン、スピリッツ
混成酒 缶酎ハイ、合成清酒、みりん、甘味果実酒、リキュール、梅酒、粉末酒

(1)清酒(日本酒)

清酒の製造工程は、蒸し米に種麹を接種して米麹をつくり、米麹と蒸した白米と水を混合し、でんぷんの糖化を行いながら、清酒酵母を加えて約3週間発酵させる。発酵の終わったもろみを圧搾・濾過したものが新酒で、その絞り粕が酒粕である。新酒を数日間静置し、おりを沈澱させて清澄にしたものが酒である。それを加熱・殺菌(火入れ)し、熟成させる。

日本酒は、近年消費がふるわなかったが、純米酒や吟醸酒など上質酒を中心に人気が盛り返している。表2に特定名称酒の種類を記す。

表2 日本酒の特定名称酒(出典:日本酒造組合中央会)

吟醸酒 精米歩合60%以下の白米と米麹及び水、またはこれらと醸造アルコールを原料として吟味して造ったお酒で、固有の香味及び色沢が良好なもの。大吟醸酒は、精米歩合50%以下のものを指す。
純米酒 白米,米麹及び水を原料として造ったお酒で、香味及び色沢が良好なもの。文字どおり、米だけで造られた酒。
本醸造酒 米歩合70%以下の白米、米麹、醸造アルコール及び水を原料として造ったお酒で、香味及び色沢が良好なもの。
(2)ぶどう酒(ワイン)

ぶどう酒は、原料・産地・製法により多くの種類があり、赤、白、ロゼに大別される。赤ワインは、赤や黒紫色の品種をつぶして果皮、種子ごと仕込んで発酵させるため、辛口で酸味、渋味が強くなり、肉料理やチーズ料理に適している。白ワインは果皮の色が薄い品種を原料とし、圧搾搾汁を低 温で発酵させたものである。このため、透明で淡泊な味で魚や鳥肉の料理に適している。ロゼワインは赤ワインと同様に仕込み、途中てブドウを取り出し発酵させる。炭酸ガスを含む発泡性ワインにはフランスのシャンパンなどがある。


(1)焼酎

焼酎は、日本古来の蒸留酒でアルコール発酵させたもろみを蒸留したもので、甲類焼酎と乙類焼酎に分けられる。甲類焼酎は連続蒸留機で造られる純アルコールで「ホワイトリカー」とも呼ばれる。乙類焼酎は「本格焼酎」といわれ、米、麦、そばなどの穀頬、いも類などを原料として発酵後、「単式蒸留機 (ポットスチル)」で蒸留し、原料の風味を残している。沖縄の泡盛(あわもり)は、米を黒麹菌で糖化し、酵母で発酵させ蒸留したものである。

(2)ウイスキー

ウイスキーは、大麦胚芽(モルト)または、ライ麦、オーツ麦、とうもろこし、小麦などを原料として、糖化・発酵させる。これを蒸留し、樽詰めにし、貯蔵して熟成させた蒸留酒である。


(1)ビール

ビールは大麦麦芽を主原料とし、これにホップやでんぷんを副原料としてつくられる炭酸ガスを含む酒である。ビールに使われるホップは、ビールに特有の香りと苦味を与え、同時に泡立ちと保存性をよくする。

(2)その他の発泡酒

日本では、ビール風味の発泡酒が一般的である。ビールと発泡酒の違いは麦芽の使用率と原料の2点で、酒税法上「ビール」に分類されるためには、麦芽を原料の3分の2以上使用し、副原料については、麦芽や麦、ホップ、米、とうもろこし、でんぷん等という規定がある。一方「発泡酒」は麦芽使用率が3分の2未満、ビールとしては使用できない原料を使用している場合で、麦芽、麦を原料の一部とした発泡性を有する酒類と称している。

また新ジャンルといわれる酒があるが、酒税法では「その他の醸造酒」あるいは「リキュール」に分類される酒類である。たとえば、ビール風味の発泡酒に麦由来のスピリッツや蒸溜酒を加えたものが、これに該当する。


みりんは、蒸したもち米、米麹、焼酎もしくはアルコールを原料にし、1〜2カ月かけて糖化・熟成させたものである。この間、もち米のでんぷんやたんぱく質が分解されて各種の糖類、アミノ酸、有機酸が生成され、独特の甘みと風味が形成される。調味料としてだけでなく、飲料としても用いられる。正月には、みりんに生薬を配合した屠蘇散を加えて、「お屠蘇」として飲まれることもある。

売り場では、みりんと並んで、みりん風調味料、発酵調味料が売られているが、みりんとは全く違うものである(表3)。

表3 本みりん・みりん風調味料・発酵調味料の比較

本みりん みりん風調味料 発酵調味料(料理酒など)
原材料 もち米、米こうじ、焼酎、醸造アルコール、糖類など、酒税法で定められた原料 糖類、米、米こうじ、酸味料、調味料など 米、米こうじ、糖類、アルコール、食塩など
製法 糖化熟成 ブレンドなど 発酵・加塩、ブレンドなど
塩分 0% 1%未満 約2%

酢は、アルコールを酢酸菌の発酵により生成するものである。その材料として、米などの穀物や果実などからアルコールをつくり、発酵によりつくった酢を醸造酢といい、酢酸などから合成したものを合成酢という。酢は、すしや酢の物など伝統的な和の料理に使われてきたが、最近では、マヨネーズ、ドレッシング、ソースなど洋風料理の需要が高まっている。食酢は農林水産省による食酢品質基準で次のように分類されている(表4)。

表4 食酢の分類

醸造酢 穀物酢 米酢、米黒酢、大麦黒酢
果実酢 りんご酢、ぶどう酢
合成酢


<参考HP>