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52-発酵乳製品
1.発酵乳製品
発酵乳製品は、牛乳などを乳酸菌によって発酵した半ゲル状ないし液状のものをいい、発酵乳、乳酸菌飲料、乳製品乳酸菌飲料などがあり、我が国では、発酵乳と乳酸菌飲料は、厚生労働省の「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(乳等省令)」によって成分規格が定められている(表1)。
表1 発酵乳、乳製品乳酸菌飲料の規格(出典:日本発酵乳協会)
種類 | 無脂乳固形分 | 乳酸菌数または酵母数(1m2あたり) | |
発酵乳 | 8.0%以上 | 1,000万以上 | |
乳製品乳酸菌飲料 | 生菌 | 3.0%以上 | 1,000万以上 |
殺菌 | 3.0%以上 | ー | |
乳酸菌飲料 | 3.0%未満 | 100万以上 |
(1)発酵乳
発酵乳は、乳酸発酵だけによる酸乳(酸発酵乳)と、乳酸発酵に加え酵母によるアルコール発酵を合わせたアルコール発酵乳とがある。
酸乳の代表的なヨーグルトは、ブルガリアなどのバルカン地方、コーカサス、中近東など世界各地で生産されている。ヨーグルトは牛乳、羊乳ややぎ乳などを原料とし、乳酸菌を加えて乳酸発酵させたものである。ヨーグルトは外観から、カード(凝固物)を砕いた液体タイプ(ソフトヨーグルト) とカートが固まった状態の固形タイプ(ハードヨーグルト)に分けられる。ソフトタイプには、何も添加しない無糖ヨーグルトに加え、甘味料や果肉などを加えた加糖ヨーグルト、フルーツヨーグルトなどがある。
アルコール発酵乳は、牛、山羊、馬の乳を原料とし、コーカサス地方に多く、またモンゴルの馬乳酒は有名である。
(2)乳酸菌飲料
乳酸菌飲料はわが国独特のものである。脱脂乳を乳酸菌で発酵させ、砂糖、安定剤、香料、色素、果汁などを混合し、均質化したものである。そして、乳製品乳酸菌飲料(液体ヨーグルトタイプ)と非乳製品乳酸菌飲料(ジュースタイプ)に分けられる。乳製品乳酸菌飲料は直接飲用する生菌乳酸菌飲料(ヤクルトタイプ)と、水で薄めてから飲用する殺菌乳酸菌飲料(カルピスタイプ)がある。
2.チーズ
チーズの種類は主なものだけでも世界中で 500 種類以上があり、ナチュラルチーズとプロセスチーズに分けられる。ナチュラルチーズの製法はさまざまであるが、牛、山羊、水牛などの乳に、乳酸菌と凝乳酵素を加え、固めて作る。そのままフレッシュで食べるもの、あるいは、熟成させる。ここにナチュラルチーズの製造工程の例を掲載する(図1)。
(1)ナチュラルチーズ
ナチュラルチーズは発酵の形式、硬さ、熟成度合いによりそれぞれ特徴がある。硬さや製法により、次のように分類される。
チーズの種類 | 特徴 | 代表的なチーズ |
ハード | 熟成期間が長く、濃厚なうま味、水分量38%以下 | エダム、エメンタール、グリエール、コンテ、パルメザン、ミモレット、チェダー |
セミハード | チーズを作る過程で、プレスして水分を抜く、水分量38−46% | ゴーダ、サムソー、マリボー |
シェーブル | 山羊の乳からつくる | ヴァランセ、ピラミッド |
ウォッシュ | 外皮を塩水や酒で洗いながら、熟成させる | マンステル、エポワス、モンドール、タレッジョ |
青カビ | カードに青カビを漬けてから成形する、カビがその隙間を繁殖し、大理石のようになる | ロックフォール、スティルトン、ゴルゴンゾーラ |
白カビ | 表面に白カビを繁殖させ熟成する、中から熟成が進む。食べごろに注意 | カマンベール、ブリー、ブリアサバラン |
フレッシュ | 熟成しないチーズ。乳に乳酸菌と酵素を加えたときできるカードの水分をとったもの | カッテージ、クリーム、フェタ、モッツアレラ、フェタ、リコッタ |
(2)プロセスチーズ
プロセスチーズは数種類のナチュラルチーズを粉砕し、乳化剤を加えて加熱溶解し、調味して殺菌したものである。その特色は、加熱により芳香は失われるが、殺菌されているため保存性がよい。スライスチーズやキャンディ型のチーズなどが一般的である。
◆コラム「プロバイオティクスとは?」
人間の腸には、実に500種類以上、約100兆個以上の腸内細菌が生存しており、その中には、腸の働きを整える乳酸菌やビフィズス菌などがあります。この腸内細菌を良好に整え、腸を健康に、そして身体も健康にしようと言う考え方が、プロバイオティクスです。発酵乳製品に含まれる乳酸菌を積極的にとることがプロバイオティクスの考え方に沿っているとも言えます。また乳酸菌は、漬け物などにも多く含まれています。(ただし調味液に漬けただけの漬物は該当しません。)