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HOME MEAL MEISTER 05加工食品


59-包装・容器内部のガス制御

包装容器内の酸素をできるだけ減らすことが、食品の腐敗や変質を防止する。そのために、包装内の酸素を抜いて真空にする真空包装という方法と他の不活性ガスに変えてしまう方法(ガス置換包装)がある。

①真空包装では、包装内の空気を吸引し、真空状態にして包装する。真空包装は、中身の食品が空気を多く含むもの、あるいは柔らかいものなどには向いていない。これは変形や破損を起こすためである。このように真空包装に向かないものは、ガス置換包装される場合が多い。

②ガス置換包装では、包装容器内にある酸素を含む空気を除去し、窒素(N2)や二酸化炭素(CO2)、あるいは酸素と他の気体の混合ガスで充填する。これらの方法は、JIS(日本工業規格)にも定められている。一般に食品の色、香りと油脂の酸化防止には、N2ガスが使われ、カビ、細菌の発育防止には静菌効果をもつCO2ガスが使われる。ポテトチップスの袋は膨らんでいるが、N2ガスが充填されているものである。これは、変質防止の目的に加えて、食品の緩衝材の役割をもつ。

真空包装では、包装内の空気を吸引し、真空状態にして包装する。またガス置換包装では、包装容器内にある酸素を含む空気を除去し、窒素(N2)や二酸化炭素(CO2)、あるいは酸素と他の気体の混合ガスで充填する。これらの方法は、JIS(日本工業規格)にも定められている。その際、包装には、次に述べる「ガスバリア性の高い(酸素を透過しにくい)包装材料」が用いられる。

真空包装は、中身の食品が空気を多く含むもの、あるいは柔らかいものなどには向いていない。これは変形や破損を起こすためである。このように真空包装に向かないものは、ガス置換包装される場合が多い。

ガス置換包装されている生鮮・加工食品の事例とその目的を表1に示す。一般に食品の色、香りと油脂の酸化防止には、N2ガスが使われ、カビ、細菌の発育防止には静菌効果をもつCO2ガスが使われる。

好気性微生物の多くは残存酸素が1%程度でも十分生育できるので、微生物制御を目的とする場合は、CO2とN2の混合ガスが用いられることが多い。小売用生肉では、肉色素の呈色維持にO2 とCO2の混合ガスが使用されることもある。食品のガス置換包装が成功するかどうかは、空気とガスが完全に置換できるかどうかにかかっている。削り節のミニパックやスライスハムのように、空気にふれると赤色の肉色素が酸化・変色するものは、袋内を脱気して窒素ガス置換率が99~99.5%になるように置換しなくてはならない。

写真1 左:茶葉の真空包装の例 右:ガス置換包装の例

表1 食品のガス置換包装とその目的

 

変質防止のために、外からの酸素の侵入を防止し、包装内部の環境ガスを制御するという包装技術は、古くから、缶やガラスびんなどで検討されてきたが、プラスチック包装材やアルミ包装材を何層にも重ねた積層フィルムのようなガスバリア性の高い包装材が開発されるようになると、ガス封入包装が可能となった。例えば、缶詰であった食品が、レトルトパウチ(☞5章-62参照、パウチは積層フィルムのこと)に置き換わっているが、酸素や光を通しにくい積層フィルムが缶の金属の役割を果たしている。表2に用途の事例と求められる包装材の特性を示す。

表2 用途の事例と求められる包装材の特性

用途事例 求められる特性
油揚げ菓子・スナック、加工食肉 ガスバリア性、耐油性
味噌、漬物、液体スープ、加工食品 ガスバリア性、耐ボイル性、強靱性
ラーメンスープ、粉末調味料、ふりかけ、海苔 防湿性、遮光性、ガスバリア性
ポテトチップス、スナック菓子、菓子、削り節 ガスバリア性、防湿性、遮光性
惣菜、畜肉加工品、切りもち 耐熱性、ガスバリア性、深絞り性

脱酸素剤は、酸素吸収物質として、還元鉄や亜硫酸塩、アスコルビン酸など各種のものが開発されているが、現在は還元鉄を用いたものが主流となっている。一般的には、よく知られている脱酸素材「エージレス®」である。この名称は開発した企業の商標で、1977年に製品化された。

包装内部の酸素を吸収し、カビや好気性細菌の発育を阻止したり、油やビタミン類の酸化を防止し、褐変・変色や異臭の発生、虫害などを抑制することができる。一般には鉄の酸化反応を利用した鉄粉系の無機脱酸素剤がよく使われているが、有機系のものもある。前述のガスバリア性包装材とともに使用する。酸素吸収能や形態、特性の異なる様々なタイプの脱酸素材が開発されており、菓子類、麺類、モチ類、畜産加工品、水産加工品などに使用されている。

最近は、脱酸素剤を練り込んだ積層の包装容器も開発されており、マヨネーズ容器などに使用され、中には賞味期限が延長されるものもある。脱酸素剤封入包装は、脱酸素剤の酸素吸収能と包装材料のガスバリア性が適切であれば、容易に0.1%以下の酸素濃度にすることができる。このため、脱酸素剤は封入後ただちに脱酸素できないという欠点がある一方、ガス置換包装では不可能な低酸素濃度を維持することができる。 脱酸素剤封入包装は、ガス置換包装や真空包装などと比較して、初期経費がかからず簡便に用いることができる。脱酸素の効果を確実にするため、袋内の酸素量を色の変化で判別できる酸素検知剤と一緒に使用することもある。

図

写真2 脱酸素剤

<ポイント>

酸素を除去したガス置換包装や脱酸素封入包装は、好気性菌(酸素を好む微生物)に対しては有効であるが、ボツリヌス菌のような嫌気性菌(酸素のない状態を好む微生物)などの増殖抑制には効果がない。このため、特に水分の多い食品では、製造工場での衛生管理に十分配慮するとともに、低温流通などとの組み合わせが必要である。また、いったん包装を開封してしまうと低酸素状態は保持されないので、注意が必要である。


<参考HP>