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71-原料原産地表示
1.食品の産地表示
食品の「産地」には「原産地」「原料原産地」「原産国」があり、食品によって使い分けられている。
生鮮商品には「原産地」、生鮮食品等を原料として製造・加工される加工食品には「原料原産地」、輸入品には「原産国」の表示が義務付けられている。簡単に言うと、原産地と原料原産地は生鮮食品が獲れたところであり、原産国はその食品をつくったところである。
2.原料原産地表示
「原料原産地」表示とは、加工食品の原料に使用された野菜や食肉、魚介類などの一次産品の原産地に関する表示のことである。なお、輸入品の場合、原料原産地(原料の生鮮食品等の原産地)と原産国(製品が作られたところ)が異なる場合もある。
ライフスタイルの変化に伴って、調理済加工食品などの需要が高まってきたが、原材料を国産品だけではまかなえず、原料の調達先が多様化・グローバル化してきた。
原料が輸入品でありながら、加工地を強調表示して国産であるかのような誤認を与えたり、価格差が大きいなどの問題があったため、現在では、「製品の原材料に占める重量割合が50%以上で、加工度が低く、原料の調達先が海外も含めて多様であること」などを総合的に考慮して、22の加工食品群に原料原産地表示が義務付けられている(表1)。そのほか「うなぎ加工品」などの4品目は、個別に原料原産地表示が義務になっている(表2)。
表1 原料原産地名表示対象(22食品群)
食品群 | 加工食品の例 | |
農産加工品 | 乾燥きのこ類、乾燥野菜、乾燥果実 | 乾しいたけ、かんぴょう、干し柿 |
塩蔵したきのこ類、塩蔵野菜、塩蔵果実 | 塩蔵きのこ | |
ゆで、又は蒸したきのこ類、野菜及び豆類並びにあん | ゆでたけのこ、生あん | |
異種混合したカット野菜、カット果実その他、野菜、果実及びきのこ類を異種混合したもの | カット野菜、カットフルーツミックス | |
緑茶及び緑茶飲料 | 煎茶、ほうじ茶、緑茶飲料 | |
もち | まるもち、切りもち | |
いり(さや)落花生、いり落花生、あげ落花生及びいり豆類 | いりさや落花生、いり大豆 | |
黒糖及び黒糖加工品 | 黒糖みつ、黒糖菓子 | |
こんにゃく | 板こんにゃく、玉こんにゃく | |
畜産加工品 | 調味した食肉※ | タレ漬けした牛肉 |
ゆで、又は蒸した食肉及び食用鳥卵 | 蒸し鶏、ゆで卵 | |
表面をあぶった食肉 | 鶏ささみのたたき | |
フライ種として衣をつけた食肉※ | 衣をつけた豚カツ用の食肉 | |
合挽肉その他異種混合した食肉 | 牛豚合挽肉、成形肉(サイコロステーキ) | |
水産加工品 | 素干魚介類・塩干魚介類・煮干魚介類及びこんぶ、干のり、焼きのりその他干した海藻類 | あじ開き干し、しらす干、板のり |
塩蔵魚介類及び塩蔵海藻類 | 塩かずのこ、塩蔵わかめ | |
調味した魚介類及び海藻類※ | まぐろしょうゆ漬け、もずく酢 | |
こんぶ巻 | こんぶ巻 | |
ゆで、又は蒸した魚介類及び海藻類 | ゆでだこ、釜揚げしらす | |
表面をあぶった魚介類 | かつおのたたき | |
フライ種として衣をつけた魚介類※ | 衣をつけたフライ用のかき | |
他 | 農・畜・水産物間での生鮮食品の異種混合品 | 鍋物セット(魚介と野菜のセット等)、ねぎま串 |
※加熱調理したもの及び調理冷凍食品に該当するものを除く
表2 個別に原料原産地の表示が規定されているもの(4品目)
対象品目 | 対象となる加工食品例 |
うなぎ加工品 | うなぎの蒲焼き、うなぎの白焼き |
かつお削りぶし | かつお削りぶし、さばぶし削りぶし、まぐろ削りぶし |
農産物漬物 | たくあん漬け、らっきょう酢漬、なす塩漬、調味梅干 |
野菜冷凍食品※ | ミックスベジタブル、ブロッコリー、さといも、ほうれんそう |
※加熱調理したもの及び調理冷凍食品に該当するものを除く
3.原料原産地表示の方法
原材料を2か国以上から調達している場合は、「にんじん(A国、B国)」のように、重量に占める割合の多い順に記載する。原産地が3か国以上の場合は、3か国目以下を「その他」と記載することもできる。
原産地の重量割合が商品ごとに特定できない場合は、図1のように表示し、その方法や詳細について回答できる旨を記載することも可能である。ただし消費者の優良誤認を招くことがないよう注意が求められる。また、原産地名の意味を誤認させる用語も、使うことができない。
例えば、商品表面に「沼津産あじの開き」と表示されていたとすると、「沼津」が加工地なのか原料原産地なのか消費者にはわかりにくい。この場合は、「あじの開き」「加工地:沼津 原料原産地:A国」とするなど、加工地なのか原料原産地なのかが明確にわかるような表示の仕方をしなければならない。食品表示基準で表示が義務付けられているのは重量比が50%以上の原材料だけであるが、それ以外の原材料や義務表示の対象外の食品であっても、同じ方法により原料原産地名を記載することができる。
なお、現行の原料原産地表示制度に加え、すべての加工食品を対象にした新たな制度が、2017年夏頃に公布・施行される見込みである。
図1 原産地の重量割合が商品ごとに特定できない場合の表示例
名称 原材料名 内容量 賞味期限 保存方法 製造者 |
塩たらこ すけとうだらの卵巣(米国またはロシア)、××、△△ 100g 2017年4月1日 10℃以下で保存してください。 株式会社○○ □□県□□市□□町1-1 |
注)すけとうだらの卵巣の原産地は、当社における○○年の取扱い実績の多い順に表示しています。詳細は弊社お客様窓口(電話番号○○)にお尋ねください。