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HOME MEAL MEISTER 08惣菜・弁当の製造から売場まで


94-惣菜の製造(1)原料・下処理

惣菜・弁当などの食品の製造工程の安全のポイントなどについて、94~97項で詳しく説明する。

惣菜製造の工程は、洗浄・殺菌前の「汚染作業区域」、加熱調理の加工を行う「準清潔作業区域」、非加熱調理と加熱調理後の冷却・保管の「清潔作業区域」と「清浄度」でゾーニングし、製造工程が進むにつれて清潔になるようにし、「動線」を一方向もしくは一方通行にして交差したり戻ったりしないようにし、交差汚染を防いでいる。

図

原料保管庫や下処理に至る過程でゾーニングされていないと、食材を入れてある段ボールの塵や埃、虫などが、下処理中の食材を汚染してしまう。また下処理から調理に至る過程では、下処理室で出た塵や汚水が、調理中や調理後の食品を汚染する。また箱詰工程での段ボールや倉庫内の埃が調理中や調理後の食品を汚染したり、商品パッケージの表面に付いてしまう。

食品製造工場でのゾーニングは、区域で床の色を変えるなど、作業者にもわかりやすく工夫している。仕切りは隔壁が確実だが、小型工場などで作業者が複数の作業室で作業をする場合など、ビニールカーテンなどの簡易的な仕切りや、時間帯別による作業の区分けも効果的である。


惣菜・弁当は多種多様な原材料を使って作られている。原材料は鮮度の良いものを選び、使用する(表1)。まず、農畜水産物などの原材料を洗浄・殺菌し、調理・加工前の下処理を行う。また、汚染された調理器具や手指、洗浄・殺菌前の原材料などから、他の食品に菌が移る「二次汚染」がないよう、取り扱いに注意が必要である。

(1)原材料の搬入、受入れ・保管
  • 保管庫の温度は、10℃前後に保つ。
  • 「二次汚染」を防ぐために、

    ◆下処理は下処理室以外では行わない。

    ◆やむを得ず下処理室から調理室や包装室へ移動する時は、エプロン・上衣・履物を交換する。

    ◆原材料を外装ダンボールのまま調理室や包装室へ持ち込まない。

    ◆原材料の保管は、食肉類・魚介類・野菜果物類などの食材別に区分する。

    ◆先入れ先出し(保管食品を使う時に、長く保管してあるものから順に取り出すこと)を徹底し、長期保管によって食品の品質を劣化させてしまうのを防ぐ。

表1 外観による鮮度判定の目安(「弁当及びそうざいの衛生規範」による

良好 中程度 不良
野菜類 ツヤがあり、水々しい。 虫により食害され、又キズがあっても、一部切除すれば水々しい。 葉がしおれ、ぐったりし、弾力性がない。
鮮魚類 (冷凍魚は解凍後)
  • ①死後硬直中。
  • ②うろこが、しっかり皮膚についており、魚種特有の色をもち、水々しい光沢がある。
  • ③眼球は突出し、血液の浸出や混濁がない。
  • ④えらが美しい赤色を示している。
  • ⑤外部から圧しても腹部に軟弱感がない。
  • ⑥肉質に透明感があり、骨から魚肉がとれ難い。
  • ①弾力性はやや劣る。
  • ②眼球は突出せず、やや混濁している。
  • ③えらは鮮明さを欠き、少量の粘着物を認める。
  • ④腹部はやや軟弱感がでてくる。
  • ⑤肉質はやや不透明となり、血管もやや不透明となってくる。
  • ⑥臭気はやや生臭い感じとなる。
  • ①魚体は軟化し、自己消化が著しい。
  • ②眼球は陥落し、著しく混濁し、又は離脱している。
  • ③えらは暗緑色となり、不快臭を出す。
  • ④腹部は崩れ、軟弱となる。
  • ⑤肉質は白濁する。
  • ⑥水に浮かぶ。
  • ①殻の表面がザラザラして光沢がない。(注)
  • ②振って音がしない。
  • ③電灯の光にすかして明るくすけてみえる。
  • ①割った時に卵白が広くひろがる。
  • ②振って音がする。
  • ③電灯の光にすかして明るくみえない。
大豆製品
  • ①外観、臭気、味が正常。
  • ②製造後短時間。
  • ①表面に粘液が生じている。
  • ②異物が混入している。

(注)近年は洗卵により、表面がザラザラしていない場合があり、光沢がないことが必ずしも鮮度の指標とはなっていない。

(2)洗浄・殺菌

洗浄用のシンクは、原則として相互汚染しないように用途別に設置する。野菜及び果物を加熱せずに使用する場合には、流水で十分洗浄する。必要に応じて次亜塩素酸ナトリウム200mg/Lの溶液に5分間(100mg/Lの溶液の場合は10分間)、またはこれと同等の効果を有するもので殺菌し、十分に流水ですすぎ洗いを行う。(→8章−96参照)

(3)下処理

納品された原材料は細菌に汚染されていることが前提であり、下記の点に注意し、二次汚染を防止する。

◆原材料は、使用前に傷みや異物混入がないことを確認する。

◆野菜類・果実類は、専用のスポンジ・ブラシ等を使って飲用適の流水で丁寧に洗浄し、必要に応じて除菌する。

◆魚・肉は袋に入れたり、ラップをかけるなどして、魚や肉の汁(ドリップ)による二次汚染を防ぐ。

◆魚介類は、飲用適の流水で丁寧に洗浄する。

◆食材ごとに色分けなどで区別した専用の機器・器具を使用する。