HOME MEAL MEISTER 04健康と栄養
40-三大栄養素
1.栄養素とその働き
私たちは適切な食べ物を摂り入れて生命を保っている。さらに食物により心が豊かになり、満足感、安らぎ、喜びを感じることができる。その食べ物には体に大切な栄養素が含まれていて、各々の大切な働きがある。栄養素は炭水化物、脂質、たんぱく質、ビタミン、無機質(ミネラル)の5種類であり、「五大栄養素」という。このうち、多く摂取する炭水化物、脂質、たんぱく質を「三大栄養素」という。
◆栄養素の働き
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2.三大栄養素
(1)炭水化物
炭水化物は、植物が「光合成」によって二酸化炭素と水を材料に光のエネルギーを使って生成される物質であり、主に主食となる穀類やいも類、豆類に「でんぷん」として、果物類や砂糖類に「糖質」として含まれる。「食物繊維」は小豆やおからなどの豆類・豆製品、カボチャやゴボウなどの野菜類や根菜類、きのこ類、海藻類に多く含まれる。
炭水化物は大きく単糖類、少糖類、多糖類に分けられる(表1)。食品中には多糖類のでんぷんが最も多いが、単糖類と少糖類のブドウ糖(グルコース)、果糖(フルクトース)、ショ糖、乳糖、麦芽糖などの糖質も含まれる。その他、セルロース、ペクチン、マンナン、寒天、キチンなどの食物繊維は、人間は分解する酵素を持たないため消化吸収することができないが、腸の蠕動(ぜんどう)運動を促進して便通を整えるといった整腸作用などがある。
食物として摂取するでんぷんは消化された後にブドウ糖となって吸収され、主として脳や体を動かすエネルギー源になる。特に脳の唯一のエネルギー源はブドウ糖である。糖質1gについて4kcalの熱量を供給する。
(2)脂質
脂質は主にバター、マーガリン、植物油のような食用油脂や肉類、魚類などに多く含まれている。油脂の成分は「中性脂肪(トリグリセリド)」で、3分子の脂肪酸とグリセロール(グリセリン)が結合したものである。その他、「コレステロール」や卵に含まれる「レシチン」なども脂質の一種である。レシチンは油と酢が分離するのを防ぐ乳化剤としてマヨネーズ等に用いられている。食用油脂には植物性油脂、動物性油脂、魚油(魚介類)などがある。
◆食用油脂
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脂質はエネルギー源であり、脂質1gにつき9kcalのエネルギーを供給する。さらに、脂質は胃内滞留時間が長く空腹感が少ないことも特徴である。魚油(魚介類) にはイコサペンタエン酸(IPA、慣用名EPA)やドコサヘキサエン酸(DHA)のような不飽和脂肪酸が多く含まれ、動脈硬化や心筋梗塞を予防すると言われている。コレステロールはホルモンや胆汁酸などの材料となる重要な物質で、肝臓で1日1gくらい作られ、体内のコレステロール量は調節されている。70%は肝臓で合成され、食事から摂取するのは30%位である。
(3)たんぱく質
たんぱく質は約20種類のアミノ酸がたくさん鎖状につながってできている高分子化合物である。たんぱく質は筋肉、臓器、血液、毛髪、爪など生体を構成する主成分であり、また酵素やホルモンや免疫抗体などの成分として生命活動を担っている。1gのたんぱく質は4kcalの熱量を供給する。たんぱく質を構成するアミノ酸の中で、特に体の中で合成されないので、食物から摂り入れられなければならない9種類のアミノ酸を「必須アミノ酸」という。
◆アミノ酸
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たんぱく質は、肉類・魚介類・卵・乳製品などに含まれる「動物性たんぱく質」と豆類・穀類などに含まれる「植物性たんぱく質」に分類できる。必須アミノ酸をバランスよく含むのは動物性たんぱく質だが、植物性たんぱく質と動物性たんぱく質では含まれるアミノ酸の種類や量が異なるので、いろいろな食品を取り混ぜて摂取し、動物性たんぱく質と植物性たんぱく質の両方をバランスよく食べて補い合うことが必要である。
たんぱく質は、主に主菜となる食品(肉類、魚介類、卵類、大豆・豆製品、牛乳・乳製品など)に多く含まれる。主食となる米や小麦にも10%程度のたんぱく質が含まれており、毎日摂取するため重要なたんぱく質源となっている。