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HOME MEAL MEISTER 04健康と栄養


42-無機質

人体の組織や器官に存在する元素は約60種といわれているが、このうち酸素、水素、炭素、窒素の4つの元素で96%を占めている。これら以外の元素を「無機質(ミネラル)」と呼び、人体に含まれている無機質は約4%である。

その中で比較的量が多い「多量元素」、量が少ない「微量元素」の主な機能や欠乏症・過剰症、多く含まれる食品をまとめて表1に示した。似通った性質の無機質同士ではお互いの吸収や働きを妨げることがあるため、バランスよく摂ることが必要である。


生体内での無機質の存在量、所在部位、生理作用は異なるが、一般的に次の様に考えられている。

 
働き
無機質
1
骨や歯の構成成分 Ca、P、Mg
2
生体内の有機化合物の構成成分 Fe、P、S
3
pHや浸透圧を調節する K、Na、Ca、Mg
4
神経、筋肉、心臓の興奮を調節する K、Na、Ca、Mg
5
酵素の作用を活性化する Mg、Cu、Zn、Mo

(1)多量元素

存在量が比較的多い無機質で、カルシウム(Ca)、リン(P)、カリウム(K)、イオウ(S)、ナトリウム(Na)、塩素(Cl)、マグネシウム(Mg)などがある。

(2)微量元素

存在量は微量だが、大切な働きのある無機質が多く、鉄(Fe)、マンガン(Mn)、ヨウ素(I)、亜鉛(Zn)、銅(Cu)、コバルト(Co)、フッ素(F)、セレン(Se)などがある。

◆亜鉛不足

亜鉛は普通の食事をしていれば不足することはない栄養素と言われている。しかし最近では偏った食事やダイエットなどで食事量が不足したり、 亜鉛の吸収を阻害する食品添加物(ポリリン酸)を含む加工食品を多く摂取すると不足することがあり、特に若年者に亜鉛不足が増加しているといわれている。

表1 無機質の主な機能や欠乏症、多く含まれる主な食品 

名称 主な機能

欠乏症(-)、過剰症(+)

主な食品
多量元素 カルシウム(Ca) 骨や歯の形成、筋収縮や神経伝達に関与 (-)骨粗鬆症 (+)骨軟化症 乳製品、骨や殻ごと食べる魚介類、緑黄色野菜
リン(P) 骨や歯の形成、pHや浸透圧の調節 (-)成長低下、骨・歯の発育不良 (+)骨のカルシウム量減少 魚介、乳製品
マグネシウム(Mg) 骨や歯の形成、体内酵素の正常な働きとエネルギー産生を助ける (-)けいれん、心悸亢進 (+)下痢 大豆製品、魚介類、海藻類
ナトリウム(Na) pHや浸透圧の調節 (-)食欲不振、消化不良 (+)高血圧症 漬物やしょっぱい食品
カリウム(K) pHや浸透圧の調節、筋肉・神経機能に関与 (-)高血圧症、筋無力症 野菜、果物、豆類
塩素(Cl) 胃酸(塩酸)の成分、血液の浸透圧・pHの維持 (-)食欲不振、消化不良 食塩、海産物、牛乳、卵
硫黄(S) ビタミンB1の成分、毛髪・皮膚・爪のケラチンの成分、解毒、酵素活性に関与 (-)毛髪・爪の発育不良 チーズ、卵、肉類、魚類
微量元素 鉄(Fe) 赤血球を造る、酸素の運搬・貯蔵 (-)貧血、爪の変形 レバー、貝類、大豆製品
銅(Cu) ヘモグロビンの生成、鉄の吸収・貯蔵促進、貧血予防 (-)貧血 肉類、魚介類、穀類
コバルト(Co) ビタミンB12の構成成分、骨髄の造血機能に不可欠 (-)悪性貧血 肝臓、魚介類、乳製品、もやし、納豆
マンガン(Mn) 骨・肝臓の酵素の活性化、骨の形成に関与 (-)骨の発育低下、生殖能力低下 茶、ナッツ類、豆類、穀類
フッ素(F) 骨・歯の硬化、虫歯の予防 (-)虫歯、骨粗鬆症 (+)斑状歯 飲料水、茶、海産物
亜鉛(Zn) 味覚を正常に保つ、皮膚や粘膜の健康維持を助ける、たんぱく質・核酸の代謝に関与 (-)味覚低下 牡蠣、肉類(特に牛肉)
ヨウ素(I) 甲状腺ホルモンの構成成分、発育促進(成長期)と基礎代謝の促進(成人) (-)甲状腺腫、クレチン病、疲れやすくなる 海産物
セレン(Se) 抗酸化作用、過酸化脂質・過酸化水素を除去 (-)克山(けしゃん)病、成長障害、肝臓障害、免疫能低下 穀類、豆類

◆塩分摂取量

私たちはナトリウムを食塩の形で摂取している。食塩相当量の目標量は男性8.0g、女性7.0gと上限値が設定されているが(日本人の食事摂取基準2015年版)、まだ国民健康・栄養調査の1日当たりの食塩摂取量は上限値より多く、目標に達していない。加工食品などを摂り過ぎない、薄味の味付けにするなど、食塩の摂り過ぎに注意したい。食塩相当量は下記の計算式で、ナトリウム量から計算することができる。

ナトリウム量(mg)× 2.54 ÷ 1000 =食塩相当量(g)

<食品1人分に含まれる塩分>

カレーライス(3.3g)、幕の内弁当(4.1g)、スパゲッティミートソース(3.4g)、やきそば(2.7g) (『調理のためのベーシックデータ第4版』女子栄養大学出版部より)