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HOME MEAL MEISTER 05加工食品


51-油脂

よく使われる動物性油脂には、牛脂(ヘット)、豚脂(ラード)そして乳脂(バター)がある。他にも、魚脂として鯨油、肝油などが使われている。バターは牛乳の脂肪分を分離・抽出したものである(→5章−52参照)。


植物性油脂には、大豆油などの液状油、ヤシ油などの固体油、パーム油などの半固体油がある。国内食用油脂の80%以上は植物油脂であり、その大半は大豆油と菜種油である。

植物性の原料から油脂を採油するには、圧搾法、抽出法があり、

  • ①圧搾法は、原料を加熱したのち、圧搾機で絞る。
  • ②抽出法は、有機溶媒(ヘキサンなど)で出する。

工業的には圧搾と抽出法を組み合わせた採油が行われている。

(1)大豆油

食用油脂のなかで最も消費量が多い。大豆は脂質含量が約20%と多くはないが、抽出法により採油され、その搾りかすは、飼料や醤油などの原料にもなる。大豆油は、リノール酸が多いほか、リノレン酸も豊富である。一方で、「戻り臭」という不快臭を生じやすく、これは大豆の固有の酸化酵素によるもので、酸化防止剤やこの酵素を持たない大豆を育種することにより解決の方向にある。

精製大豆油は、大豆白絞油(しらしめゆ)といい、天ぷらなど揚げ物用に広く使用される。その他サラダ油、マーガリン、ショートニングの原料として用途が広い。

(2)菜種油(キャノーラ油)

菜種油は、大豆油に次いで消費量が多い。従来のナタネ油にはエルシン酸が多く含まれ、その毒性が問題であったが、現在の菜種油は低エルシン酸のものがほとんどである。揚げ物用、サラダ油に利用される。特に、脱色しない油は、その色合いから赤水といい、揚げ物の衣などを香ばしく色よく仕上げ、油揚げなどの製造に用いられる。

(3)米油

米糠から抽出した油である。リノール酸含量は約30%である。揚げ物用、サラダ油、マーガリンの原料となる。原料は大部分が国内産である。

(4)ごま油

ごまを炒って搾油するため、特有の香気がある。色調も濃く、精製度を抑えている。調合油の原料となるほか、味付けなどに用いられる。

(5)サフラワー油(ベニバナ油)

リノール酸(約78%)を多く含むので酸化されやすい。単独で用いにくく調合油として利用することが多い。その他マーガリンなどの原料油に使用される。

(6)トウモロコシ油

リノール酸の含有率が約50%でクセがない。調合油、マーガリンの原料油として使用される。

(7)オリーブ油

地中海沿岸が主産地であり、芳香があり脱臭していないものもある。高価なため, 綿実油などの調合油にも使われる。オレイン酸が60~80%含まれる。

(8)ヤシ油、パーム油

ヤシ油はココヤシの実から採油した油で、パーム油はアブラヤシの果肉から採油した油で植物性の油脂としては珍しく、固体油、半固体油である。用途はチョコレート、アイスクリーム、マーガリン、ショートニングオイルやフライ油(即席めん)など使用範囲は広い。

(9)カカオ脂

カカオ豆から採油した脂で融点は35℃内外であり、融点以下の温度では硬く、融点に近づくと急激に溶ける。そのため、口どけがシャープなため製菓用(チョコレート)とする。


精製された油は淡色で特有の香りがあり、異味のない食用油になる。てんぷら油は、大豆油、菜種油、ゴマ油、米油を配合した調合油が用いられる。サラダ油は、ドレッシングの原料になったり、生食するため、色が薄く、無味無臭でクセがないものが要求される。特に、精製したオリーブ油、トウモロコシ油、菜種油、大豆油、米油が用いられる。


菓子やパンの材料となるマーガリンやショートニングは、液体上の植物性油脂や動物性油脂に水素を添加し、飽和脂肪酸の割合を高めた硬化油を原料として製造する。マーガリンは、これに、粉乳や発酵乳・食塩・ビタミン類などを加えて乳化し、練り合わせたものである。一方、ショートニングは、油脂のみであるが、さくっとした食感を付加する。常温でも固まる性質があるので、たとえば、ファーストフードのフレンチフライやドーナツなどを揚げる油は、ショートニングが使われている。


◆コラム「脂肪がつきにくい?特定保健用油」

 特定保健用食品の機能性油通常の油の3〜4倍の価格で「脂肪がつきにくい」と効能をうたって販売しているのが目につく。通常の油は「グリセリンと3つの脂肪酸が結合したもの」だが、この脂肪酸を2つにしたもの、あるいは脂肪酸の長さを短くしたもので、脂肪の分解を早めたり、コレステロールの吸収を抑える効果があるというもので、臨床実験も経て、特定保健用食品の認可を得たものである。各メーカーより、その具体的な効果や使用法について、ウェブサイトなどで説明がされているので、参照されたい。

<参考HP>