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78-食品情報へのアクセス
1.牛の個体認識番号(牛トレーサビリティ制度)
2001年9月、牛海綿状脳症(BSE)が日本で初めて確認された。これを受けて、2003年に「牛の個体識別のための情報の管理及び伝達に関する特別措置法(牛トレーサビリティ法)」が施行された。この法律により、国内で飼養されるすべての牛には、固有番号を付した「識別耳標」を付け、「各個体の生産から流通・小売に至るまで」の情報を管理することが義務となっている。
小売店等において販売される牛肉には、プライスカードや商品ラベル等に個体識別番号が記載される(図1)。この番号を(独)家畜改良センターの「牛の個体識別情報検索サービス (携帯電話用)」で検索すると、その牛の出生年月日や品種、飼養場所の履歴等を確認することができる。
2.米トレーサビリティ制度
米は炊飯して食べるだけでなく、餅、米菓子(せんべい、おかき、団子など)、酒・みりんの他、様々に加工されるが、この場合にはブレンドされることも多い。このため、原料となる米の産地や流通ルートを、生産から販売・提供までの各段階を通じて取引等の記録を作成・保存し、その情報を消費者や取引先に提供することが、「米穀等の取引等に係る情報の記録及び産地情報の伝達に関する法律(米トレーサビリティ法、2009年4月公布)」で定められており、ブレンド米や米の加工品などには、使用した米の産地表示が義務付けられている。
◆対象品目
- ①米穀(玄米、精米等)
- ②米粉、米穀をひき割りしたもの、ミール、米粉調製品、米菓生地、米こうじ等の中間原材料
- ③米飯類(弁当、おにぎり、赤飯、おこわ等)
- ④米加工食品(もち、だんご、米菓、清酒、単式蒸留しょうちゅう、みりん)
◆消費者への産地情報の伝達方法、記載例
- 商品への産地表示
- プライスカード、POP、Web
- 国産米の場合は「国内産」「国産」等と記載(都道府県や一般に知られた地名でも可)
- 外国産の場合はその「国名」を記載
※事業者間の伝達は、伝票等や容器包装に産地情報を記載する
3.QRコードの導入
正方形の2次元バーコードの一種であるQRコード(Quick Response Code®)は、従来のバーコードに比べてサイズが小さく、より多くの情報を収納できるのが特徴である(図4)。限られた表示スペースの中で様々な情報を印字することができることから、商品の外観への影響も抑えることができる情報ツールとして、食品においても広く活用されている。QRコード読み取り機能のついた携帯電話等でQRコードを読み取ると、収納された情報を閲覧したり、ホームページへアクセスしたりすることができる。
QRコードは、消費者が食品の情報を得る手段としてだけではなく、食品の生産・流通においても活用されている。QRコードを利用することで業者間の情報伝達の精度が向上し、食品のトレーサビリティの円滑化にもつながるからである。例えば、流通の過程においてQRコードに収納された情報を読み込むことで、それらの情報の入力にかかる労力を削減し、入力ミスも防止することができる。またこれらは、商品の偽装防止の役割も果たしている。
4.企業等における自主的な取り組み
加工食品の原料原産地やアレルゲンの表示は、すべての商品に義務付けられているわけではない。商品形態や業態によっては義務付けられていないものもあるが、同じような商品でも表示があるものとないものがあり、消費者には分かりにくいことから疑問をもち、事業者に問い合わせることもある。こうしたことから、義務を課せられていない分野(容器包装に入っていないもの、対面販売、作った場所で販売するケース等)においても、自主的に表示を行ったり、様々な方法により情報提供を行う取り組みも進んでいる。
(一社)日本惣菜協会は、2011年に「惣菜・弁当(持ち帰り)の情報提供ガイドライン」を策定し、原材料名、原料原産地名及びアレルゲンの情報提供のための指針としている。