HOME MEAL MEISTER 07食の文化と環境
84-和食のマナー、作法
1.和食の作法
和食とは、これという決まりはないが、農林水産省の提言によれば、「ご飯とお味噌汁、主菜を一つ、副菜を二つ」という「一汁三菜」のお膳を基本としている。主食であるご飯と汁物に、季節の食材の組み合わせの献立である。
2.懐石料理と会席料理
和食は茶会の時にいただく「茶懐石料理」と武家の「本膳料理」が発祥となっている。
(1)懐石料理
懐石料理は、ご飯、みそ汁、向付がのった膳に続き、煮物、焼き物、吸い物、八寸(海の幸、山の幸の盛り合わせ)、湯桶(お湯とおこげ)、香の物という流れで、この間何度かご飯のお代わりや酒が供され、その後に菓子と抹茶という流れである。
(2)会席料理
会席料理は、一汁三菜(お椀、刺身、焼き物、煮物)を基本とし、先付(さきづけ、前菜)、お椀、向付(むこうづけ、刺身など)、焼き物、煮物(炊き合わせなど)、ご飯・止め椀(味噌汁)、甘味(果物などのデザート)という順番となる。ここにお凌ぎ(おしのぎ、寿司など)や揚げ物などが加わることもある。料亭や割烹などで出される料理は、会席料理スタイルが多いが、店やその食事シーンによって、柔軟に異なっている。
3.和食の作法
和食の作法は、姿勢を崩さず、背筋を伸ばして食べることが基本である。茶懐石の席では、正座して、食事とお茶をいただくまで長時間に渡るので、椅子に座ることに慣れた現代人には辛いものがある。
基本的には、食器を左手に持って(あるいは手を添えて)いただく。また、季節感を盛り込み、アシンメトリー(左右非対称)に盛りつけるのが特色である。盛り付けは左が主体で、「魚は頭の方が左」という決まりがある。刺身は左正面となるように盛られ、左上から右下に流れるように盛る「流し盛り」が基本である。また、左から、手前からいただくのが基本である。
4.和食の今
一汁三菜が和食の基本であるが、今では、主菜に洋風料理が並ぶこともあれば、ご飯・主菜・副菜が一つの食器に盛られることもある。今や、和食の基本的な形式は一様ではなく、日々変容している。
無形文化遺産としての和食の要素、つまり①新鮮名食材と素材を尊重すること、②健康的な食生活を支える栄養バランス、②自然の美しさや季節感の表現、④行事を通じて家族や地域との関わりを取り持つこと、などを意識しつつ、日々の食事を大切にしたいものである。