HOME MEAL MEISTER 08惣菜・弁当の製造から売場まで
93-惣菜の分類と特徴
1.惣菜とは何か
1960年代ごろまでの一般家庭では、食材を購入して家庭で調理し喫食する「内食」が中心だったが、ライフスタイルや家庭形態の変化により「外食」の機会が増え、食事時間のずれや「個食」などにより、惣菜を持ち帰って食べる「中食」という食事形態が定着してきた。
「惣菜」は、一般的には「比較的消費期限の短い調理済食品」のことを指すが、ライフスタイルの多様化等に伴って多種多様になり、その範囲も広がってきている。
(1)『弁当及びそうざいの衛生規範』による定義
惣菜とは一般的には「調理済食品」であり、厚生労働省通知の『弁当及びそうざいの衛生規範』では「そうざい」および「弁当」の定義が次のように示されている。
◆「弁当及びそうざいの衛生規範」による惣菜・弁当の定義
惣菜とは、主食とともに食べる様々な副食で、いわゆる「おかず」のことであり、弁当とは、主食又は副食をパックしたもの。
(2)「日本標準商品分類」による分類
統計調査の結果を商品別に表示する場合の統計基準として、総務省より「日本標準商品分類」が設定されている。日本標準商品分類によると、惣菜は「その他の調理食品」に該当し、8項目(「煮物類」「焼き物類」「炒め物類」「揚げ物類」「蒸し物類」「和え物類」「米飯類」「他に分類されない調理食品」)に分類される。
煮物類 | 煮魚、煮豆、甘露煮、おでん、カレー、シチュー、ロールキャベツ、その他の煮物類 |
焼き物類 | 焼肉、焼豚、焼鳥、玉子焼、オムレツ、うなぎ蒲焼、グラタン、ハンバーグ、その他の焼き物類 |
炒め物類 | 野菜炒め、きんぴら、焼きそば、その他の炒め物類 |
揚げ物類 | コロッケ、トンカツ、天ぷら、からあげ、魚フライ、串あげ、春巻、その他の揚げ物類 |
蒸し物類 | ぎょうざ、しゅうまい、茶碗蒸し、その他の蒸し物類 |
和え物類 | 野菜サラダ、ポテトサラダ、マカロニサラダ、酢の物、マリネ、その他の和え物類 |
米飯類 | 弁当、おにぎり、寿司、白飯、赤飯、ピラフ、チャーハン、サンドイッチ、ハンバーガー、スパゲッティ、お好み焼き、肉まん、あんまん、その他の米飯類 |
(3)(一社)日本惣菜協会の定義
近年様々な惣菜・弁当が販売され、それらの定義も明確なものになっていない現状もあり、(一社)日本惣菜協会では、惣菜の中に弁当を含めて、惣菜を次のように定義している。
◆惣菜の定義((一社)日本惣菜協会の定義 )
そのまま食事として食べられる状態に調理されて販売されるもので、家庭、職場、屋外などに持ち帰って、調理加熱されることなく食べられる、比較的消費期限の短い調理済食品をいう。ただし、容器包装後低温殺菌処理され、冷蔵にて1カ月程度の日持ちする調理済包装食品も含む。(調理済冷凍食品、レトルト食品《包装後加熱調理殺菌食品を含む》など比較的保存性の高い食品は含まれない)
2.惣菜の製造工程による分類
惣菜製品の種類は、製造工程における加熱の有無、それらをどの工程で行うかにより、大きく4つに区別できる。HACCP等の認定の際には、こちらの分類が用いられている(→8章-92)。
①加熱後包装する惣菜 | 煮物、焼き物、炒め物、加熱調理をした後に容器包装して提供する惣菜 |
②包装後加熱する惣菜 | 真空パックされた要冷蔵の惣菜等、密封包装した後に加熱調理・殺菌する惣菜 |
③加熱しないで洗浄・殺菌する惣菜(主に洗浄や薬剤殺菌等だけで加熱工程のない惣菜) | 生野菜サラダ等、加熱することができない惣菜 |
④加熱および洗浄・殺菌しない惣菜(リパックして使用する惣菜) | 殺菌された食品を開封し、再包装して提供する惣菜 |
◆そうざい半製品の取扱いに注意!
そうざい半製品とは、惣菜になる前の「フライする前の生とんかつ・生メンチカツ・生コロッケ等・焼く前の生餃子等」、生の原料を使用した加工食品のことである。外観からは見分けが付きにくいが、単に「冷凍されている食品」であり、「冷凍食品」の定義には該当しない。
これらの使用の際は商品に記載された調理方法を守り、中心部分までしっかり加熱することが必要である。特に冷凍保存されている場合は、中心部分の温度が上がるのに時間がかかるため、事前に半解凍しておくなどの準備をして、調理することが肝心である。
次項より、安全で美味しい惣菜や弁当が、どのように製造され、どのように消費者の手元に届けられているかについて学んでいく。
◆「惣菜管理士」の育成
一般社団法人日本惣菜協会では、1993年より「惣菜製造業向けの人材育成」として、「惣菜管理士資格制度」をスタートした。 「惣菜管理士」は、惣菜の大量製造に必要な衛生管理、品質管理、製造現場管理他、食品に関連する専門知識を3年間で三級・二級・一級と段階的に習得する資格制度で、資格者の増加により、安全な惣菜製造・流通販売に貢献してきた。現在では資格取得者は惣菜製造業だけでなく、食に関連するすべての業種の管理者、製造・小売、流通、開発・品質管理等の広範な分野へと広がり、今までに約2000社、21,000名以上(2016年8月現在)の方が資格を取得され、惣菜製造・流通販売の現場で活躍している。